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Event Reports

Aug 23, 2016

innotalk report 「Innovation Path」横田幸信

2016年度第5回イノトーク
東京大学i.schoolディレクター 横田幸信
2016年7月28日開催

innotalk

i.schoolディレクターであり、イノベーション・コンサルティングファームi.labでも活躍する横田幸信さんの書籍が、7月15日に出版されました。タイトルは「INNOVATION PATHイノベーションパス 成果を出すイノベーション・プロジェクトの進め方」。
 イノベーション動向に関して上司に勧めることのできる本、そしてビジネス・デザイン・エンジニアリングに携わる人々の共通言語となる本を目指したという横田さん。今回のイノトークはそんな横田さんをスピーカーに、会場も変え、公募により多様なバックグラウンドの人々が集うなかで行われました。濃密な2時間の様子をかいつまんでご紹介します。

トークのメインテーマの一つはイノベーションの新潮流でした。現在、イノベーションの類型はC.クリステンセン教授の理論などが有名です。一方横田さんは、今後の潮流を考えるにあたり「市場がある中での競争(持続的イノベーション / ローエンド型破壊)」と「市場を開発する挑戦(新市場型破壊)」という新しい類型化を提案しました。
近年、人工知能や自動運転など、社会を大きく変えると予想される技術が出現しつつあります。横田さんは、今後10年は技術主導の新市場型破壊的イノベーションが主流になるだろうと指摘しました。そのとき主なタスクとなるのは、まだ市場がない状況に機会を見出し、アイデアを提案して自ら顧客を想定・市場を開発していくことです。新市場を開拓して創造的な価値を生むためにはプロセス設計が必要であり、人間中心の考え方や方法論は有効なツールとなっていくだろうと横田さんは話します。

次に、イノベーションプロセスを設計・管理するイノベーションマネジメントにおいて、横田さんは、色々な方面からの潮流、特にデザイン側とビジネス側の潮流を組み合わせる重要性を説きました。
近年の事業創出においては、産業界で取り扱いづらい不明瞭な事象、つまり数字にならない事業機会をとらえる必要性が認められつつあります。そんななか、不明瞭な問題を扱う方法論としてデザインが取り上げられ、活用の度合いを高めています。一方ビジネスサイドでも、新市場を開発するような創造的価値が必要だという指摘が出ています。これらから示されるように、今後はデザインの潮流とビジネスの潮流をかけ合わせながらイノベーションのプロセス設計や実践が行われることが必要だと横田さんは話しました。

最後の話題は、イノベーティブなビジネスパーソンになるための方法についてです。横田さんが挙げたポイントは3点。1つ目は、通常業務とイノベーション業務のバランスをとりながら、通常業務でも周囲に認められるようなパフォーマンスを出すこと。次に、既成概念にとらわれず挑戦するキャラクターになること。そして、通常業務だけでなくイノベーションについても優れた先輩のそばにいることです。
そのために必要だと横田さんが強調したのは、時間的・心理的負荷をかけて自分のポテンシャルを最大限引き出すハードワーク、そしてここ一番の勝負時のスーパーハードワークでした。
実感のこもった経験談に、会場は真剣に聞き入っていました。

その後の質疑応答、ではなく「質疑と議論」でも、質問は途絶えることなく熱いやりとりが交わされました。大きく変化する未来に向けて、イノベーションという文脈において何に着目しどう行動するべきか、重要な示唆が得られたトークであったと感じました。

i.school2015年度修了生
小林実可子


横田幸信

i.schoolディレクター。イノベーションコンサルティング企業i.lab, Inc. マネージング・ディレクター。小学生向けの教育系NPO Motivation Maker ディレクター(副代表理事)。九大院理学府修士課程修了後、野村総合研究所、東京大学先端科学技術研究センター技術補佐員、東大院工学系研究科博士課程中退を経て現職。イノベーションの実践活動と科学・工学的観点からのコンサルティング事業及び研究活動を行っている。

このイベントの告知ページはこちらからご覧いただけます。
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/programs/seminar/innotalk_05_16//

*イノトーク(innovation talk)は小人数で密度の濃いディスカッションを実現するi.schoolの非公開イベントです。

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