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Event Reports

Oct 22, 2015

innotalk report「対立構造を超えるマザーハウスの経営 途上国と先進国、お客様と企業の新しい関係性構築とは?」

2015年度第5回イノトーク
マザーハウス山崎大祐氏
2015年9月4日開催

yamazaki_san

「みなさんはこの時間で何を得たいと思っていますか?」
9月4日、夜。開始早々、スピーカーの山崎大祐さんが会場へ質問を投げかけました。
いきなりの質問にやや驚いた様子の参加者。第5回イノトークは、ほとんど第一声からディスカッションがはじまる、イノトークの本領発揮といえるような場となりました。

山崎さんが副社長を務める株式会社マザーハウス。「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念のもとに、バングラデシュとネパールでバッグや服飾雑貨のデザイン・生産を行っています。数人の若者の想いからはじまった企業は、9年間を経て今や日本と台湾合わせて20店舗の直営店を持つまでに。しかし、その道のりは苦労に苦労を重ねたものでした。
自分で作った試作品を手に、現地の工場を何軒も回った。誰も取り合ってすらくれなかった。やっとの思いでつくった工場が、ある日あとかたもなくなっていた……。マザーハウスを次々襲う苦難に、参加者はしんと聞き入ります。

「こんなにモノがあふれた世の中で、誰もモノを買わない」と山崎さんは話します。そんな状況で一番困るのは、顧客の購買に支えられている途上国なのです。山崎さんたちがモノづくりの業界に起こそうとするイノベーションは、製品の向こう側にいる生産者を想像できるような買い方を生み出すこと。
現地工場へのツアーや、顧客とスタッフ交流イベントなど様々な取組みを通して、「途上国」VS「先進国」や「企業」VS「お客様」の壁を超えた新しい企業のあり方、新しいモノづくり像を、山崎さんたちは実現しようとしています。

自分の夢を追うべきか、スキルを磨くのが先か。ゴールドマンサックスを辞めてマザーハウスを立ち上げた山崎さんに、そう尋ねたi.school生がいました。
「思いは人を集めます。会社が大変なときに集まってくれる仲間こそが、今後をつくっていくメンバーになる」と山崎さんは言います。しかし一方で「思いだけじゃだめ」。思いを言い続け、チャンスが来たら自分のスキルを活用してそれをつかむ。自分は何で価値を出せるか考え続けることが大切だ、と山崎さんはエールを送りました。
お客様の顔が見えること、思いが聞こえること、お客様と共に時間を共有することの大切さ。そして、共に一番厳しい時期を乗り越えてきた仲間たちへの信頼と感謝。熱い言葉の先に、未来のモノづくりの姿が垣間見えた気がしました。

i.school2015年度通年生
小林実可子


山崎大祐さん

yamazaki_san

株式会社マザーハウス取締役副社長。1980年東京生まれ。高校時代は物理学者を目指していたが、幼少期の記者への夢を捨てられず、1999年、慶応義塾大学総合政策学部に進学。大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。2003年、大学卒業後、 ゴールドマン・サックス証券に入社。エコノミストとして、日本及びアジア経済の分析・調査・研究や各投資家への金融商品の提案を行う。2007年3月、同社を退社。株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、同年7月に副社長に就任。副社長として、マーケティング・生産の両サイドを管理。1年の半分は途上国を中心に海外を飛び回っている。

このイベントの告知ページはこちらです。
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/programs/seminar/innotalk_5_2015/

*イノトーク(innovation talk)は小人数で密度の濃いディスカッションを実現するi.schoolの非公開イベントです。

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