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Event Reports

Dec 15, 2015

innotalk report「METADESIGN」筑波大学 五十嵐浩也教授

2015年度第9回イノトーク
筑波大学 五十嵐浩也教授
2015年11月20日開催

秋も深まる11月20日、イノトークは第9回を迎えました。
今回は筑波大学の五十嵐浩也教授をお迎えしました。タイトルは「METADESIGN」。「デザインのデザインをやっています」と話す五十嵐さんのデザイン論を、たっぷり2時間、様々な側面から伺いました。

以前はオートバイのデザインをしていたという五十嵐さん。上体を倒してオートバイで疾走する運転手の画像を見せ、参加者に問いかけました。「オートバイのデザイナーは何をやっているのでしょう?」メカニズム、基本の構造、といった意見が出ますが、答えは「主にスタイリング」。
次に五十嵐さんが見せたのは、競馬馬に乗って駆ける騎手。参加者は、オートバイの運転手と騎手の姿勢が似ていることに気づきます。高いスピードやカーブが重視されるオートバイでは、運転手の姿勢は競馬馬のそれと同じような前傾姿勢になるのです。
人の乗り方をベースにバイクのスタイルは作られる、と五十嵐さんは話しました。「人とモノの関係性からデザインはスタートします」。

デザインとは何なのか?
デザインは初め、もっぱら家具など静的なモノのスタイリングを対象としていたそうです。ですがマシーンの普及によって、動的なモノをデザインする必要が生じました。さらに、人間工学、ユーザーインタフェース、インタラクションデザインといった、人とモノとの関係性に着目してデザインは発展してきました。これらを包括するのが、五十嵐さんの現在の専門でもあるエクスペリエンスデザイン。ユーザーにどのような経験値を与えるかが課題です。
では、デザインは人にどのような経験をもたらせば良いのでしょう。現在五十嵐さんが注目しているのが身体化(embodiment)。身体化とは、人が道具を体の一部であるかのように自然に使えるようになることです。「デザインは身体化のためのトリガーである」五十嵐さんはデザインをこのように再定義しました。

トークの後半、テーマはデザイン思考に移ります。
デザインは仮説検証のプロセスである、と五十嵐さんは解説しました。人々の感情を捉え、隠れたニーズを見つけ出す。それを反映する製品などの仮説をビジュアル化し、ユーザーに提示する。反応を見て、仮説が正しいか、どのような製品が望まれているかを検証する。この一連の流れのなかで仮説を具体化、実体化することがデザインの全てだと五十嵐さんは言います。
仮説検証を繰り返すデザインにおいて重要なのは、常識的なものの見方を理解しつつ、それを少しひねって超えてゆくことだそうです。そのためには、決まりきった考え方にはまらないよう、以前行った思考パターンを常に乗り越えてゆくことが必要だと五十嵐さんは主張しました。

豊富な事例と共に多様な角度から幾度もデザインを再定義し、デザインの意義を突き詰めた五十嵐さん。質疑応答の時間も活発に議論が交わされ、デザインバックグラウンドの参加者もそうでない人にとっても、デザインへの関心と理解が一気に深まった二時間でした。

i.school2015年度通年生
小林実可子


五十嵐浩也先生

GKインダストリアルデザイン研究所(ヤマハ、科学博等の仕事)、富士ゼロックス株式会社 総合研究所(XEROX Palo Alto 研究所)を経て筑波技術短期大学 助教授、国立大学法人筑波大学 芸術系 教授、2015年10月より国立大学法人筑波大学 大学執行役員兼ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター長、芸術系 教授。

このイベントの告知ページはこちらからご覧いただけます。
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/programs/seminar/innotalk_9_15/

*イノトーク(innovation talk)は小人数で密度の濃いディスカッションを実現するi.schoolの非公開イベントです。

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