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Event Reports

Jan 9, 2016

innotalk report「i.lab事例から考える、イノベーション実践のためのプロセスデザインとマネジメント」i.school 横田幸信

2015年度第10回イノトーク
東京大学i.schoolディレクター 横田幸信
2015年12月17日開催

innotalk

12月17日。今年を締めくくるイノトークは、i.schoolディレクターの横田さん。
実は横田さんは、i.schoolのみならず、新規事業創出のためのコンサルティングファームi.lab、子供向けNPO法人Motivation Makerと、多くの顔を持つ人です。それは、イノベーションには理論と実践の両方が必要だと考えているから。理論はi.school、実践はi.labを舞台に、横田さんはイノベーションについて理解を深めてきました。
「i.lab事例から考える、イノベーション実践のためのプロセスデザインとマネジメント」 をタイトルに、なぜ今イノベーションなのか、そしてイノベーションの実践的マネジメントについて密度の高いお話をしてくれました。

そもそも、なぜ今イノベーションなのか。「2030年、あなたは何の仕事をしていると思いますか?」と横田さんは会場に問いかけました。具体的に考えたとき…、と横田さんは2つのトピックを提示します。
まず、「私たちの知性を上回る存在が誕生する」。ますます発展する人工知能が、複雑な要素がからむ問題に答えを出し、それが人間の生活のなかで自然に受け止められる時代になるでしょう。そして「身体性」。ディープラーニングなどの機構を利用し、試行錯誤を繰り返して技術に習熟するロボットが開発されつつあります。
人の職業の大部分を人工知能が代替できる時代、人の役割は何なのでしょうか。課題認識や目的意識を持って創造することと、他者と協調して価値を高めることは人にしかできないだろう、と横田さんは考えます。これらを生かす仕事、つまりイノベーションに関わる仕事が、これからの時代の人間のなすべき仕事になるかもしれないのです。

では、実際に企業でイノベーションをマネジメントするにはどうすれば良いのでしょうか。多くの企業では社員の95%が既存の業務に従事し、5%が新規事業を行う「特殊部隊」だと横田さんは話します。重要なのは、この2者は完全に別物でかつ補完的であると、社内で共通認識を持つこと。
さらに、既存業務を行う95%のうち、半分ほどは事業開発に協力的な「よき協力者」。彼らを増やし、巻き込むイノベーションマネジメントが重要だと横田さんは訴えました。
では協力者を動かすには?特殊部隊を率いるエース社員が、自分の感覚を訴えるだけでなく、論理的に処理できる業務プロセスを作り、事業として実現可能な形態にすること。そのプロセス設計こそがi.labの価値観であり、クリエイティビティなのだそうです。

横田さんは最後に、今まで出会ってきた、イノベーションに関わる人材に共通する行動特性を話してくれました。
まず、事業開発者を統括するマネージャー。イノベーティブなアイデアは不確実が高いと認識していること。自分は事業開発の先端を理解しているわけではないと自覚し、後方支援に徹することのできることなどが共通項とのこと。
次にリーダー人材は、傾聴して話を構造的に理解し、自説を乗り越える力も持つこと。さらに論理だけでなく感覚も優れ、勢いを持って事業を前進させ続けられること。戦略性を持って動き、苦労を楽しめ、柔軟性を持つ人が多いそう。
最後に、リーダーと共に事業開発を行うメンバー人材は、自分の意見を持ちながら素直に聞くことができ、自分がリーダーだったら何を考えるか先回りして行動する人が多いということでした。

横田さんはトーク中、「こうすればイノベーション人材になれる」のような断言を一切しませんでした。それは、自分はまだイノベーションを生み出していないのではないか、と評価しているから。「これが統一理論です、最終回です。と言っているのではなくて、この知見が参考になったら」と横田さんは言い添えました。
イノベーション業界で活躍しつつも、おごらずあくまで前進し続ける横田さん。今後も更新され続けるだろうイノベーションの理論に、自分も乗りたいと筆者も感じた、そんな年の瀬のイノトークでした。

i.school2015年度通年生
小林実可子


横田幸信

i.schoolディレクター。イノベーションコンサルティング企業i.lab, Inc. マネージング・ディレクター。小学生向けの教育系NPO Motivation Maker ディレクター(副代表理事)。九大院理学府修士課程修了後、野村総合研究所、東京大学先端科学技術研究センター技術補佐員、東大院工学系研究科博士課程中退を経て現職。イノベーションの実践活動と科学・工学的観点からのコンサルティング事業及び研究活動を行っている。

このイベントの告知ページはこちらからご覧いただけます。
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/programs/seminar/innotalk_10_15/

*イノトーク(innovation talk)は小人数で密度の濃いディスカッションを実現するi.schoolの非公開イベントです。

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